ZARAがICタグを全商品に導入。ファッション業界の循環にメスを入れる一手
衣料品業界は長らく「販売」と「生産」にフォーカスしてきた。作ることが目的化し、その後の流通や廃棄、再利用に対する関心は薄かった。素材情報は作り手だけが握り、消費者やリサイクラーには共有されない。結果として、リサイクルの現場では素材の特定が困難になり、ほとんどの衣料品がサーマルリサイクル(焼却処理)されてきた。
ZARAが導入するICタグは、この構造に風穴を開ける。製造工場、素材、組み立て方法などの情報を商品そのものに記録することで、リサイクルの道筋が明確になる。リサイクラーが一つひとつの衣料品を解析する必要はなくなり、効率的な再利用が可能になる
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1224W0S4A211C2000000
素材の名称、構造がわかれば、循環の設計は可能になる。これは単なる技術革新ではない。ファッションの「その後」に責任を持つという、産業の思想そのものの転換だ。
現在のリサイクル業界は装置産業化しており、変化には時間がかかると思われる。しかし、環境への配慮や持続可能性への要請は、予想以上のスピードで押し寄せている。旧態依然としている時間はそれほどないのかもしれない
この流れに乗るには、業界全体の意識改革が必要になる。だが、変化はすでに始まっている。ファッションは「使い捨て」から「循環」へ。ZARAのICタグは、その転換点を象徴する存在になるだろう。
well being それではまた!!