「普通に歩ける」という奇跡
歩行が困難になるほど、膝の痛みが進んでしまった。
正直に言えば、ここまで来るとは思っていなかった。
いま、身に染みて感じているのは
「普通に歩けること」「通常にしていられること」が、どれほどありがたいかということだ。
失って初めて分かる、という言葉はやはり本当だと思う。
とはいえ、どこか冷静な自分もいる。
今回の痛みは内臓的なものではない。
息をするだけで苦しいとか、じっとしていてもずっと辛い、という種類のものとも違う。
腰や肩のように、
どんな体勢でも逃げ場がない痛みでもない。
「歩けば痛い」
条件付きではあるけれど、逆に言えば
歩かなければ、ある程度は落ち着いていられる。
そう考えると、これは不幸中の幸いなのだと思えてくる。
だったら、もう慌てても仕方がない。
落ち着いて、今やれることをやるだけだ。
通院する。
医師の話を聞く。
治療やケアに集中する。
それ以外のことは、あらがっても仕方がない。
楽しむところまではいかなくても、
ただ受け入れればいい。
今回のことを、前向きに使うとしたら──
体重を落とす、いいきっかけにしたい。
一キロ体重が減ると、膝への負担は数倍軽くなると言われている。
これはもう、やる理由として十分だ。
動けないことを嘆くだけよりも、
「いま出来ること」に意識を向ける。
普通に歩ける日が、また当たり前になるその日まで。
いまは静かに、足元を見つめ直す時間にしたい。