未来をつくる分別──建設現場から始まる価値の再定義

「捨てる前提」からの離脱──建設現場に芽吹く、循環という思想

建設の現場は、常に時間に追われてきた。
納期、工期、工程、、、
そのすべてが優先され、現場は単発で消費され、文化は継がれずに終わる。
分別に思いを馳せる余白などなかったのだ

だが、そんな時代は変わった。
「何かを生み出すには、何かを捨てるのは仕方がない」──
そんな建設業界特有の“必要悪”は、もはや免罪符にはならない。

社会は今、生まれる価値から何も引かれないものづくりを求めている。


■ 水際での選別が、未来を変える

大成建設が始めたのは、建設現場で発生する混合廃棄物の中でも、これまで再利用が難しいとされてきた「ふるい下残さ」を、ソイルモルタルの原料として再資源化する試みだ。

この取り組みの本質は、排出の最先端での選別にある。
現場で担当者がつき、水際で素材を見極める。
その瞬間、廃棄物は“ごみ”ではなく、“資源”へと姿を変える。

分別は、後処理ではない。
創造の一部であり、設計思想の延長線上にあるべきものだ。


■ トレードオフではなく、統合の時代へ

これまでの建設現場は、スピードと効率を優先するあまり、分別や再資源化は“余裕があれば”の扱いだった。
だが今、求められているのは「スピードも、分別も、価値も」という統合的な視点だ。

大成建設のようなゼネコン最大手が動けば、その波は一次請けから二次、三次へと確実に広がる。
現場の文化が変われば、業界の空気も変わる。
そしてそれは、社会の価値観そのものを揺さぶる力を持つ。


■ この一例で終わらせないために

この取り組みが、単なる“良い話”で終わってしまえば意味がない。
重要なのは、この事例が「例外」ではなく「前例」になることだ。

建設という営みが、破壊と創造のあいだで揺れるのではなく、循環という第三の軸を持つこと
それが、これからの時代に求められる建設の姿だ。


■ 循環は、現場から始まる

リサイクルは、遠くの処理場で起きる出来事ではない。
それは、現場の片隅で、誰かの手によって始まる。
目の前の素材に、もう一度命を与えるという選択。
その選択が、未来を変える。

建設現場という“始まりの場所”から、循環の思想が芽吹いている。
それはまだ小さな芽かもしれない。だが確かに、根を張り始めている。


well being それではまた!!